フリースクール・通信制という選択肢

結論から言うと、学校以外の学びの場は一つではなく、性質の異なるいくつかの選択肢があります。 小中学生の段階では「教育支援センター」「フリースクールなどの民間施設」「学びの多様化学校(不登校特例校)」、 高校段階では「通信制高校」があり、それぞれ出席・卒業の扱われ方や、公的な位置づけが異なります。 この記事では、比較検討の前提として、それぞれの制度上の違いを整理します。

1. フリースクール(民間施設)

フリースクールは、学校とは別に民間の団体などが運営する学びの場です。運営方針・料金・活動内容は施設ごとに大きく異なり、 全国一律の認可制度があるわけではありません。 小中学生がフリースクールに通った場合、それだけで自動的に「学校に出席した」ことにはなりません。 前の記事(不登校でも出席扱いになる制度)で説明したとおり、学校長が要件を踏まえて出席扱いとするかどうかを個別に判断します。

2. 学びの多様化学校(不登校特例校)

学びの多様化学校は、不登校児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる学校として、文部科学大臣が指定する公立・私立の学校です。 フリースクールとの大きな違いは、この学校に在籍すること自体が正規の学校在籍・出席として扱われる点です。 設置数は全国的に増加していますが、すべての区市町村にあるわけではないため、通学可能な範囲にあるかどうかは事前の確認が必要です。

出典: 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)について」 mext.go.jp 「特別の教育課程を編成することができる」(制度説明・要旨)

3. 通信制高校(高校段階の選択肢)

高校段階になると、通信制高校という選択肢が加わります。通信制高校は、レポート提出・スクーリング(対面授業)・試験を組み合わせて、 全日制・定時制と同様に高校卒業資格を取得できる課程です。近年は学校数・生徒数が増加する一方で、 教育の質を確保するための基準づくりが進められており、文部科学省は令和3年に学校教育法施行規則や高等学校通信教育規程などを改正しています。 通信制高校を検討する場合は、その学校が国や都道府県の認可を受けた正規の高等学校であるかどうかを確認することが基本になります。

出典: 文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上」 mext.go.jp

4. 教育支援センター(適応指導教室)という選択肢も

区市町村が設置する「教育支援センター」(自治体によっては「適応指導教室」とも呼ばれます)も、学校以外の学びの場のひとつです。 公的な機関のため、フリースクールに比べて費用がかからない、または低額であることが多く、 学校・教育委員会との連携もとりやすい傾向があります。設置の有無や利用方法は区市町村ごとに異なるため、 在籍校や教育委員会の窓口で案内を受けるのが基本の流れです。

5. 中学生の進路として考えるときの視点

  1. 今の学年・状況で「出席扱い」を目指すのか、「学校以外の場での学び」自体を目的にするのかを、本人・家庭で整理します。
  2. フリースクールを検討する場合は、運営年数・在籍者数・学校との連携実績・費用(月謝制が多い)を、施設に直接確認します。
  3. 通信制高校を検討する場合(主に中学卒業後の進路として)は、正規の高等学校としての認可の有無、スクーリングの頻度・場所、卒業までにかかる費用を確認します。
  4. いずれの場合も、在籍中の学校・教育委員会に早めに相談し、出席の扱いや転学手続きの要否を確認しておくと、後の手続きがスムーズです。

6. よくある質問

Q. フリースクールと学びの多様化学校は何が一番違いますか。

A. 一番の違いは「在籍」の扱いです。学びの多様化学校は、そこに在籍すること自体が学校教育法上の正規の在籍・出席になります。 一方フリースクールは、在籍は元の学校のままで、通った活動内容をもとに学校長が出席扱いとするかどうかを個別に判断する形になります。

Q. 通信制高校は誰でも入学できますか。

A. 通信制高校も高校入学のための出願・選考手続きが必要です。中学卒業(見込み)であることなど、一般的な高校と同様の要件があります。 具体的な出願資格・時期は学校ごとに異なるため、志望する学校に直接確認してください。

Q. 学校以外の学びの場を選ぶと、進学に不利になりますか。

A. 一律に「不利になる」とは言えません。出席扱いの制度や学びの多様化学校は、学びを継続できるようにするための公的な仕組みとして用意されています。 進路への影響は制度の利用そのものより、学習内容の継続や、必要な手続きを踏んでいるかどうかによる部分が大きいため、 早めに学校・教育委員会に相談しながら進めることが大切です。

注意点

当サイトは特定のフリースクール・通信制高校の推薦や比較評価は行いません。 制度上の位置づけの説明までとし、個別施設の良し悪しの判断は、実際に見学・相談したうえでご家庭で行ってください。

相談窓口

  • 在籍校の担任・スクールカウンセラー・進路担当
  • お住まいの区市町村教育委員会(学びの多様化学校・教育支援センターの設置状況の確認先)
  • 東京都教育相談センター(教育相談一般): 0120-53-8288