学校がいじめに対応してくれない時の手順(重大事態の定義を含む)

結論から言うと、道すじは大きく3段階です。 (1)学校に事実を伝え、記録を残しながら対応を求める、 (2)学校の対応が不十分なら教育委員会に相談する、 (3)心身に重大な被害が出ている疑いがある、または長期間学校を休まざるを得なくなっている疑いがある場合は、 法律上の「重大事態」にあたる可能性があり、学校の設置者(区市町村の教育委員会など)に、調査組織をつくって調べる義務が発生します。 この記事では、それぞれの段階で保護者ができることと、法律上の根拠を順番に説明します。

1. まず記録を残しながら学校に伝える

  1. いつ・どこで・誰が・何をされた(言われた)か、子ども本人の言葉をできるだけそのままメモに残します。日付ごとに書き足していくと、後で経過が分かりやすくなります。
  2. 担任だけでなく、学年主任・生徒指導担当・スクールカウンセラーなど、相談できる先を複数把握しておきます。
  3. 口頭で伝えるだけでなく、内容を簡単なメールや連絡帳など、後から見返せる形でも残しておきます(「言った・言わない」を防ぐためです)。
  4. 学校に伝えた日付と、学校から聞いた対応方針(いつまでに・誰が・何をするか)も記録します。

2. 学校には「事実確認をする義務」がある

いじめ防止対策推進法という法律では、学校の教職員などがいじめの相談を受けたり、いじめがあると思われる状況を把握したりしたときは、 「速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずる」こと、 そしてその結果を学校の設置者(教育委員会など)に報告することが定められています(同法第23条)。

つまり、学校側には「様子を見ましょう」で終わらせず、事実確認の措置をとる義務があります。 対応が遅い・確認が行われていないと感じる場合は、 「事実確認の状況を教えてください」「いつまでに確認していただけますか」と、期限を区切って聞くと状況が整理しやすくなります。

出典: 文部科学省「別添3 いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)」第23条 mext.go.jp(条文全文) 「事実の有無の確認を行う」(第23条第2項・要旨)

3. 「重大事態」とは何か(法律上の定義)

学校での対応が続いても状況が変わらない、あるいは被害が深刻な場合、法律上の「重大事態」に該当する可能性があります。 いじめ防止対策推進法第28条第1項では、重大事態を次の2つのパターンで定義しています。

重大事態の2つの類型(法第28条第1項)

  • 第1号(生命・心身・財産の重大事態):「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」
  • 第2号(不登校重大事態):「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(目安として年間30日程度の欠席が一つの基準とされています)

重要なのは、どちらも「疑いがあると認めるとき」に調査を始めるとされている点です。 いじめが確定していなくても、その疑いがある段階で、学校の設置者または学校は調査組織を設けて、 「質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う」ことになっています。

出典: 文部科学省「別添3 いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)」第28条 mext.go.jp(条文全文) 「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」(第28条第1項第2号)

4. 重大事態の調査はどう進むか

重大事態に該当すると判断された場合の調査の進め方については、文部科学省が「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を公表しています。 調査組織の構成(第三者を含めることが望ましいとされる場合があること)、被害を受けた児童生徒・保護者への情報提供のあり方、 調査結果の取りまとめ方などが示されています。 「重大事態にあたるかもしれない」と感じたときは、このガイドラインの存在を知っておくと、学校や教育委員会とのやり取りの見通しが立てやすくなります。

出典: 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(令和6年8月改訂) mext.go.jp(PDF)

注意点

この記事は制度の一般的な説明であり、個別の事案について「重大事態にあたるかどうか」を判定するものではありません。 判断や手続きの詳細は、学校・教育委員会、または必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。 当サイトは開示請求書の作成代行や、個別の法律相談は行いません。

相談窓口

  • 東京都いじめ相談ホットライン(東京都教育相談センター): 0120-53-8288(24時間365日)
  • SNS等教育相談(東京都): 毎日15時〜23時のチャット相談
  • お住まいの区市町村教育委員会の相談窓口(次の記事「教育委員会への相談の仕方」で一覧の探し方を紹介しています)

出典: 東京都教育相談センター「教育相談一般・東京都いじめ相談ホットライン」 e-sodan.metro.tokyo.lg.jp / 考えよう!いじめ・SNS@Tokyo ijime.metro.tokyo.lg.jp